【例文付き】書類選考で落ちないための障害配慮の書き方|うつ病編
障害者採用での書類選考、通らないのはなぜ?
転職活動を始めるとき、まず直面するのが「書類選考」です。
特に障害者雇用枠で転職活動をする方にとっては、書類の書き方一つで通過率が大きく変わることも少なくありません。「障害配慮をどう書けばいいのか分からない」「障害を伝えたら落ちるのではないか」と悩む方も多いでしょう。
実際、書類選考で落ちてしまう原因は大きく分けて二つあります。ひとつは、企業にとって配慮内容や現状が具体的に理解できない場合。もうひとつは、過去の体調経緯や自己理解のプロセスが簡潔すぎて、応募者の努力や改善意欲が伝わらない場合です。
そこで今回は、今回はうつ病のケースに焦点をあて、
私が過去にサポートしてきた3名の実例をもとに、企業に提出しても安心な障害配慮の書き方を具体的に解説します。さらに、書類選考のポイントや、企業目線での見られ方、よくある失敗例もあわせて紹介します。
「書類選考で落ちるかもしれない」という不安を減らし、通過率向上に役立てたら幸いです。
うつ病がある場合の書類選考で落ちる理由
まず、うつ病などの診断を受けている方が書類選考で落ちる主な理由を整理してみます。
- 情報不足:企業は応募者の働く上での配慮や状況を把握できないと、不安になり選考を進めづらくなります。
- ネガティブ表現が多い:体調や経緯を説明する際、ネガティブな表現ばかりだと「採用後の業務遂行に支障があるのでは」と思われやすいです。
- 配慮希望が不明確:残業や通院の希望が書かれていなかったり曖昧だと、企業は調整のイメージができません。
逆に言えば、書類に働くうえでの配慮希望や体調管理の工夫、回復・安定に向けた取り組みを書いておくことで、書類選考で通る確率はぐっと上がります。
企業向け書類の基本的な書き方
企業に提出する書類は、医師の診断内容や配慮希望だけでなく、次の点も意識して書くことが大切です。
- 体調不良に至った経緯
- 具体的な状況(業務量、勤務環境など)
- 回復に向けて行った取り組み
- 現在の体調と就業可否
- フルタイム勤務可能か
- 生活リズムや服薬・通院状況
- 希望する配慮
- 残業時間の上限
- 面談や相談の頻度
- 通院や休暇の調整
- 前向きな表現
- 自己理解やスキル習得の取り組み
- 回復・安定に向けた工夫
書類例で学ぶ、具体的な書き方
ここでは、実際にサポートしてきた方の書類を例に、企業向けに丁寧にリライトした内容を紹介します。具体的な年数は「20XX年」としています。
書類例①:フルタイム勤務可、体調安定ケース
障害について
- 診断名:うつ病 3級
- 通院 / 服薬:月1回(金曜日午後) / 夜1回
- 就業許可:有
経緯・現在の体調
2018年6月頃、夜勤業務の継続により生活リズムが崩れたことで体調を崩し、医療機関を受診した結果、うつ病と診断されました。その後、勤務に慣れ、生活リズムが整ったことで、2020年頃には体調も安定しています。
現在は主治医よりフルタイム勤務の許可を得ており、安定した体調で就業が可能な状態です。
不規則な勤務形態や業務量の増加がストレス要因となることがありますが、睡眠時間の確保や上司・同僚への相談を通じて、自己管理に努めています。
希望する配慮
- 残業は月20時間程度までを希望します。
- 月1回、金曜日に通院を行っており、その際は半日休暇の取得を希望します。
この書類例では、企業が知りたい「現在の体調」「通院・服薬状況」「就業可否」「具体的な配慮内容」を整理して記載しています。ポイントは、単に「うつ病です」と書くだけでなく、体調の安定度や自己管理方法、配慮の内容が具体的であることです。
書類例②:勤務時間調整希望、体調回復中ケース
障害について
- 診断名:うつ病 手帳申請中(3級取得見込み)
- 通院 / 服薬:2か月に1回(土曜日午前) / 朝晩各1回
- 就業許可:有
経緯・現在の体調
20XX年8月頃、前職において業績不振による退職者が毎月数名発生し、業務量が増加しました。上司にも相談しましたが改善が見られず、結果として体調を崩し、うつ病と診断されました。その後、20XX年2月頃より療養と服薬調整を経て体調は回復傾向にあります。
現職では1日6時間、週5日勤務を行い、体調は安定しています。生活リズムは23時就寝〜6時起床で維持しており、服薬の徹底や主治医への定期相談を行うことで、体調管理に努めています。
希望する配慮
- 入社後は環境に慣れるまでは週30時間勤務を希望し、ゆくゆくはフルタイム勤務へ移行したいと考えています。
- 業務の進捗状況や体調については月1回程度の面談の機会をいただけると助かります。
- 不明点があった際には質問を行うため、相談者を明確にしていただけると安心です。
- 2か月に1回程度通院があり、土曜日に行うため休暇の取得は不要です。
この書類例では、勤務時間の調整希望や面談など具体的な支援のお願いを明示することで、企業側が対応をイメージしやすくなっています。
ポイントは、体調の回復状況や勤務可能時間を丁寧に伝えること、そして相談先や面談の希望を明確にすることです。
書類例③:就労移行支援経由・自己理解・スキル学習ありケース
障害について
- 診断名:うつ病 2級
- 通院 / 服薬:月2回(水曜日午前) / 朝晩各1回
- 就業許可:有
経緯・現在の体調
現在、週5日で就労移行支援事業所に通所しており、通所率は100%です。抗不安薬を服用しており、症状は回復傾向にあり、主治医の判断で減薬を進めています。
20XX年6月頃、うつ傾向の適応障害と診断されました。当時、入社した会社でほとんどOJTがなく、寝食の時間を削って自己学習の時間を捻出していたことが体調悪化の要因です。
20XX年12月頃、医師の勧めにより就労移行支援事業所に通所し、体調の安定と自己理解の促進、業務に必要なスキル習得を進めました。通所を通じて、働くうえでの適性や得意な業務内容、ストレスの対処法についても整理ができ、安心して就労できる準備を整えています。
希望する配慮
- 周囲に遠慮して相談をため込んでしまう傾向があるため、入社後は相談先を明確にしていただけると助かります。
- 入社後約3か月間は、月2回程度、業務に関する面談の機会をいただけると安心です。
- 残業は月10時間以内を希望します。
- 月2回、水曜日に通院があり、その際は午前休を取得します。
この書類例のポイントは、就労移行支援での学習・自己理解の進捗や具体的な配慮希望を明確に伝えることです。企業側は、働く上での安心材料を把握でき、採用判断もしやすくなります。
書類作成で意識すべきポイント
- ポジティブな情報を必ず入れる
- 回復・安定の状況、自己理解やスキル学習の取り組み
- 配慮希望は具体的に書く
- 残業時間、通院スケジュール、相談頻度など
- 読みやすさを意識する
- 箇条書きや見出しを活用して整理
これらを意識するだけで、書類選考で落ちる可能性はぐっと下がります。
書類選考で不安な場合はプロに相談
書類作成に不安がある場合は、障害者専門の転職エージェントに相談するのもおすすめです。
例えばdodaチャレンジでは、応募書類の添削や配慮内容の書き方のサポートを無料で受けられます。
書類選考で通らない…と悩むよりも、プロに見てもらって安心感を得ることが、転職活動成功の近道です。
まとめ
- うつ病の方は、書類選考で落ちる理由の多くは「情報不足」と「配慮希望の不明確さ」です。
- 企業向けの書類には、体調・経緯・配慮希望・前向きな取り組みを具体的に記載しましょう。
- 就労移行支援や自己理解・スキル学習の取り組みも、採用側に安心感を与える重要な情報です。
- 不安な場合は、障害者専門転職エージェントのサポートを活用するのがおすすめです。

書類選考で落ちてしまうのは決してあなたのせいじゃありません。
ポイントを押さえて丁寧に書けば、通過率はぐっと上がりますよ!